世界の音楽ニュースを見ていたところ、以下の様なニュースに目が留まりました。
ピアニストは引退すべきなのか、生涯現役であるべきか
https://officeyamane.net/pollini-in-london/
ピアノは、楽器の中では高齢になっても演奏できる楽器だと言われています。
ヴァイオリン🎻などは、姿勢に偏った無理をかけるので、高齢になると演奏が難しくなると言われています。
👆の記事に登場するマウリツィオ・ポリーニはイタリアのピアニストで、その揺るぎない完璧な演奏で一世を風靡した、ピアノの神様のような憧れのピアニストです。
・・いえ、ピアニストでした・・・でしょうか。
記事は、今81歳のポリーニのロンドン、ロイヤル・アルバート・ホールでのリサイタルの様子についてです。
元々近年は、往年の様な煌びやかさは、失われていたようですが、今回は特にアクシデントに見舞われて聴衆が愕然となって見守るコンサートだったようです。
*最初のシューマン幻想曲の冒頭で、記憶が混乱して止まり、袖に行き長時間戻ってこない。
*楽譜を持ってくるが、自分でめくるために上手くいかず演奏が何度も止まる
*1曲目のシューマンの幻想曲の1楽章が終わったところで再び袖に引っ込む
*その後は何とか安定を大分取り戻して、終演まで演奏する
*アンコールは無し
それでも聴衆はポリーニに敬意を表して、スタンディング・オベーション・・・
だったようです。
ピアニストは暗譜に苦労する運命
最初の幻想曲で躓いたのは、おそらく暗譜の問題でしょう。
あんなに完璧な演奏を誇ったポリーニも、高齢になると暗譜に苦労するのですね。
ショックですが・・
多分日常では、幻想曲も難なく暗譜で弾けていたのだと思います。
でも、コンサートという緊張する場面では、記憶力がいつもより働かなくなるんでしょうか?
初めから楽譜を見ることにして、譜めくりアシスタントもつけるように計画していれば、元々の素晴らしい能力が発揮できたのでは・・等と勝手なことを思ってしまいます。
コンサートで譜面を見てはいけない不文律がある楽器は、実はピアノだけなんです。
リストが、暗譜でのピアノ演奏を、当たり前の習慣にしてしまったそうです。
それ以来、ピアニストの苦難が始まったのかもしれません。
恨むならリストですね(⌒∇⌒)
もちろん、暗譜する位取り組んだ方が、良い演奏になるに決まっているのですが・・完璧を求められると難しいものなのです。
このポリーニのコンサート話には、私としても大変考えさせられました。
わが教室にも中年以上の方が複数いらっしゃいます。
もちろん趣味の方が多いので、練習を積んで暗譜まで完成させて発表会にも出演されているのですが、本番は思いもかけないところで足をすくわれることが多々あります。
子どもはあっという間に暗譜してしまい、本番でもしっかり弾けるのですが、大人はなかなかそうはいかないのです。
頭の記憶だけでなく、多分身体に関する筋肉の記憶も関わっていると思います。
音楽を楽しんで頂きたい立場としては、がむしゃらに暗譜に取り組むよりも、譜面を見てリラックスして楽しんで弾いて頂きたいですね。
そして色々な時代とジャンルの音楽にチャレンジして、幅を広げて楽しんで頂ければ、嬉しいです。
次回の発表会には、何とか今回の学びを生かしていきたいです。